地圏環境科学科

 水圏、大気圏、生物圏は、太陽からの放射エネルギーによって駆動しており、その基盤をなす固体地球(岩石圏)も、放射性元素の崩壊熱に支えられて活動しています。これら4つの『圏』の交差する空間が『地圏』であり、各圏が物質・エネルギー循環を通じて相互作用しています。その結果、地圏では、絶えず多様性豊かな自然現象が起こり、固体地球とともに共進化してきました。すなわち、地球上のあらゆる物質を資源・道具として有効活用し、知恵を蓄えることであらゆる自然現象を乗り越え、進化してきた私たち人類は、いわば『地圏』の最も新しい産物といえます。

 地圏環境科学科では、人類活動を含む、地圏全体を「ひとつのシステム」として捉えています。現状の理解からだけでは知ることができない地球表層〜深部の過去を解き明かすことにより、その現在と未来を一連の進化のスナップショットとして理解しようとしています。そして、地球の環境と人間の営みについてそれぞれ理解を深めることで、両者の均衡を保つ「持続可能性」について模索しています。

研究グループの概要

 現在、地圏環境科学科では、以下の6つの研究グループ(分野)が連携し、新たな地圏システム感を創出すべく、「自然」や「モノ」をみる力を養う積み上げ式の研究・教育を行っています。また、国内・国外の研究教育機関や民間企業・団体との交流も強化し、幅広い視野から物事を多角的に捉え、国内のみでなく、国際的にも活躍できる人材の育成を目指しています。

  • 古環境変動学・進化古生物学グループでは、堆積物や化石に残された古環境情報から、近現代を含む過去の海洋環境変動と気候変動・島の地史・生物進化の謎を解読しています。
  • 地質・古海洋グループでは、野外調査、微化石の群集組成の解析、地層の年代決定を基に、古環境の変遷を読み解く研究を行っています。
  • 断層・地殻力学グループでは、数理モデル、室内実験および地質調査を組み合わせ、地震の発生機構や地殻変動の原因を調べています。
  • 地形学・自然地理学グループでは、河川、海岸、斜面地形および変動地形(活断層)の発達史や形成プロセスを様々な手法によって研究しています。
  • 人文地理学グループでは、人・世帯や企業の空間行動、地域格差、環境、災害など、諸問題の実態把握と政策決定を探求しています。
  • 自然災害学グループでは、最新技術を用いて、地震・火山・津波など災害誘因のメカニズム解明や危険度評価に取り組んでいます

卒業後の進路

 地圏環境科学科の卒業生の約7割が大学院に進学します。博士前期課程で修士の学位を得た学生は博士後期課程に進学し、引き続き研究を行って博士の学位を取得しています。学部や修士課程を卒業・修了した学生はその専門性を生かし、石油開発、地質・環境コンサルタント、官公庁、小中高教員、学芸員などとして活躍しています。
 博士後期課程を修了した学生の一部は、大学や国公立研究機関の研究者となります。

卒業後の進路(学部卒)

卒業後の進路(修士卒)

卒業後の進路(博士卒)