人文地理学グループ

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氏名専門分野Link
教授(兼)中谷 友樹地理情報科学、健康地理学、空間疫学🔗
准教授磯田 弦経済地理学🔗
助教(兼)関根 良平人文地理学、農業地理学🔗
※メールアドレスの末尾にtohoku.ac.jpを追加

人文地理学とは

世界には、ニューヨークや東京の大都市圏のように数千万人の人口集積地からオーストラリアの散居や遊牧地域の人口希薄地域まで、実に多様な人間集団の居住様式が存在します。しかも、それぞれの居住様式は決して孤立したものでも、また固定したものでもありません。地理学では、居住様式に共通性あるいは全体性が認められる空間的広がりを「地域」と概念化します。地域は種々の環境変化、文化・技術の発達、および地域間の諸関係の変化によって変容を続けています。その過程において、持続的居住を危うくする地域環境問題を引き起こす場合もあります。人文地理学は、この多様な人間集団の居住様式の成立条件と変容プロセスを解き明かすために、「地域」の枠組みのなかで、居住の生態と地域間の諸関係を研究します。また、地域が現在あるいは近 未来において直面する社会・環境問題について、現象の空間分析を通じて取り組んでいます。

このような学問的背景にもとづき人文地理学グループでは、以下の研究テーマに取り組んでいます。


都市構造の変化

都市の内部には多様な地域、例えば高級住宅街、貧困地域、外国人街などが存在し、その姿は様々な背景的要因と関連して変化を続けています。しかも、都市に居住する個人が経験しアクセスできる資源は、その人が使える交通手段やデジタル技術等によって異なります。これら都市構造の変化ならびに都市内部の地域分化と関連した地域的・社会的格差の実態とその変容の仕組みについて研究しています。


健康の環境要因と地理的格差

身体活動を促すウォーカビリティ(歩きやすさ)の地域差 (出典)

健康の決定因やその地理的偏在を通して健康の地理的格差を解き明かす研究領域を医学・健康地理学と呼びます。所得や教育水準の地域差に影響する居住地域の分化や歩いて生活できる地域環境(ウォーカビリティ)などの居住環境の要因など、健康の地理的格差をもたらす要因を多方面から検討しています。


空間的伝播・空間的相互作用

新型コロナ感染症の時空間発生マップ:垂直軸(画面手前方向)は時間軸 (出典)

感染症の流行や犯罪発生の時空間的パターンなど空間的に伝播あるいは反復される現象について、数理科学的に研究します。こうした時空間的な現象は、人の動きなどを介した地域間の結びつき(これを空間的相互作用と呼びます)によって基礎づけられており、その仕組みを地理的ビッグデータ処理やモデル化を通して研究しています。


災害研究

災害は自然科学と社会科学の接点であり、理学部に所属する社会科学の研究グループとして災害研究に積極的に取り組んでいます。地域社会が災害に備え、対処し、復興するために培ってきた災害文化や、レジリエンス(災害後に回復する力)、災害後の地域環境の変化や災害に対する地域社会・経済の応答の地域的様相について研究しています。


農村・地方振興

ベトナムの少数民族ザオ族の集落にて耕地の場所を教えてもらっている場面

世界的に都市化が進む他方で、農村には伝統的な生業を営み続けている人間集団もあります。日本国内では農村地域は高齢化と人口減少により地域の運営が危機にさらされています。持続的に行われてきた資源利用方法を再確認し、革新的な方法を取り入れた先進事例をたよりに、農村振興について研究しています。


研究方法の開発

この研究グループでは、上述の研究群に必要となる新しい研究手法も開発しています。地理情報システム(GIS)を利用した複雑な現象を直感的にわかりやすくするデータの可視化、地理情報の特性にあった空間統計学解析等の空間データ解析技術とともに、オンライン環境を利用したサーベイや景観観察など、新しい地域・社会調査法を追及しています。