小惑星リュウグウに彗星塵が衝突した痕跡を発見 太陽系遠方から有機物を含む彗星の塵が供給されていたことを示唆

小惑星の表面は大気に覆われていないため、太陽風(太陽から吹き出るプラズマ(電気を帯びた希薄なガス)の風)や宇宙の塵が降り注ぎ、小惑星最表面の物質の化学組成などの特徴を変化させます。
本専攻の松本恵助教と中村智樹教授ら、立命館大学、京都大学、東京大学などとの共同研究チームは、探査機はやぶさ2が小惑星リュウグウから持ち帰った岩石粒子の表面を走査型電子顕微鏡で観察し、小惑星表面に宇宙の小さな塵が衝突してできた大きさ5~20マイクロメートル程度の溶融物を複数発見しました。
溶融物の3次元CT観察や化学組成分析を行った結果、溶融物は、衝突した彗星由来の塵とリュウグウの表面物質が高温で融けて混ざり合うことで生成したことが分かりました。

彗星は太陽系の遠方で形成され、生命の材料となり得る有機物を多く含むことが知られています。
彗星塵の衝突による溶融物の形成は、現在から約500万年前の間に、現在の小惑星リュウグウの軌道上で起こった可能性が高く、リュウグウには、ごく最近まで、太陽系の遠方から有機物を含む彗星の塵が供給されていたと考えられます。

本研究の成果は、2024年1月19日に米国科学振興協会(AAAS)が発行する学術誌Science Advancesに掲載されました。

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沈み込む海洋地殻の水の保持能力とその変化の一端を解明〜沈み込み帯の成熟が地球深部への水の輸送を促進〜

海洋プレートの沈み込み帯では、水を保持した海洋プレートの脱水反応が引き金となって、地震活動や火山活動が誘発されます。
沈み込み帯深部において約11.5重量%と含水量の高い(ローソン石を含む変成海洋地殻「ローソン石エクロジャイト」の形成は、沈み込みが帯における水や微量元素の循環及び地球深部への物質輸送において重要な役割を果たすと考えられています。

一方で、世界の造山帯(注3)においてローソン石エクロジャイトはあまり存在せず、沈み込む海洋地殻の実像やローソン石エクロジャイトの普遍性については多くの議論がなされてきました。

今回、東北大学東北アジア研究センター(兼務 本専攻)の辻森 樹教授とイリノイ大学シカゴ校地球環境科学科のデイビッド・エルナンデス=ウリベ博士の国際研究チームが行った最新の研究により、海洋プレートの沈み込み過程におけるローソン石エクロジャイトの存在条件と、沈み込み帯の成熟に伴う水の保持能力の変化が明らかになりました。

本成果は、2023年7月1日、米国地質学会の専門誌Geologyの電子版にオープンアクセス論文として掲載されました。

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巨大地震後の地盤変動を解析する新手法を開発GNSS観測データから東北地方太平洋沖地震後10年後の地盤変動を従来技術の約10分の1の高精度で予測

2011年の東北地方太平洋沖地震(以下、東北沖地震)から10年が経過した現在も、東北地方では活発な地殻変動が続いており、沿岸部の漁港などで実際に生活への影響が出ていることが問題となっています。
地殻変動はGNSSにより記録されていますが、従来の解析手法は計算コストが高く、地盤の高さを予測すると実測値と10センチメートル(年平均1センチメートル)程度異なるという不確実さがありました。

本専攻のダル サムブッダ特任助教と武藤潤教授は、2011年東北沖地震後の複雑な地盤変動を解析する革新的手法を開発しました。
従来の複雑な力学モデルに代わり、GNSS観測の時系列データを関数モデルで調整することで、地震発生から10年後の地盤変動についても観測と予測との誤差を1センチメートル(年平均1ミリメートル)以下に抑えた精度で予測することができます。

最低2年間の連続GNSS時系列データを用いて、最小限の計算リソースで地震後の地盤の動きが予測でき、それを引き起こす上部マントルの流動とプレート境界断層の「ゆっくりすべり」を検出できます。

今後、GNSS連続記録が得られる他地域にも適用可能で、巨大地震後の地盤変動解析や津波防災に大きく貢献することが期待されています。

本研究成果は、5月3日に科学誌Geophysical Research Lettersに掲載されました。

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軽石のナノスケール岩石学から福徳岡ノ場の新しい噴火モデルを提案~マグマの酸化が噴火の引き金に~

国立研究開発法人海洋研究開発機構(理事長 大和裕幸、以下「JAMSTEC」)海域地震火山部門 火山地球内部研究センター 固体地球データ科学研究グループの吉田健太副主任研究員らは、京都大学、東北大学、静岡大学、高エネルギー加速器研究機構と共同で、南西諸島(沖縄・鹿児島)に漂着した福徳岡ノ場由来の噴火噴出物(軽石)のナノスケール分析を行った結果、黒色軽石部分が10-20nm程度の磁鉄鉱、100nm程度の黒雲母、300nm程度の単斜輝石のナノ粒子(ナノライト)を含んでいることを新たに見出しました。
また、放射光分析によりガラス中の鉄の酸化還元状態を調べたところ、ナノ粒子を含む黒色軽石部分は、灰色軽石部分よりも鉄が酸化されていることが分かりました。
これらの分析結果と熱力学的な解析により、2021年の噴火の際、火山のマグマ溜まり内では地下深くから上昇してきた玄武岩マグマから水が供給されることで福徳岡ノ場のマグマ溜まりの一部が酸化されてナノ粒子が生じ、形成されたナノ粒子がマグマの発泡を促したことで爆発的な噴火に至ったことを明らかにしました。
ナノ粒子形成と火山噴火現象の関わりは近年盛んに研究されている話題ではありますが、今回ナノ粒子の鉱物種と形成条件を詳しく調べることで、これまで通説であった過冷却によるナノ粒子形成モデルとは異なる、マグマ溜まり内部でのナノ粒子形成が爆発的噴火の要因となる新しい噴火モデルを提案しました。

本成果は、JSPS科研費JP19K14825、JP19H01999、JP20H00198、JP20H00205、JP 22K03755、JP18KK0376、JP19H00834、JP22H05109、JP21H01195の支援を受けて行われました。また高エネルギー加速器研究機構での共同利用課題番号2020G008、2021G634、2022S2-001の成果を一部利用しています。

本成果は、「Scientific Reports」に5月9日付け(日本時間)で掲載されました。

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地圏環境科学科 土谷真由さんが第24回「環境放射能」研究会 奨励賞を受賞

当地球科学系 地圏環境科学科 土谷真由さんが第24回「環境放射能」研究会 奨励賞を受賞しました。

受賞日 : 2023年3月8日
発表タイトル : ランダムフォレスト解析を用いた大気中ラドン濃度変動による地震の先行現象の検出

「環境放射能」研究会website 研究会奨励賞

炭素質小惑星(162173)リュウグウの試料中の可溶性有機分子

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)では小惑星リュウグウ試料分析を、6つのサブチームからなる「はやぶさ2初期分析チーム」および、2つの「Phase-2キュレーション機関」にて進めています。

この度「はやぶさ2初期分析チーム」のうち「可溶性有機物分析チーム」の研究成果をまとめた論文が、アメリカの科学誌「Science」に2023年2月24日付(日本時間)で掲載されましたのでお知らせします。

タイトル:炭素質小惑星(162173)リュウグウの試料中の可溶性有機分子
原題: Soluble organic molecules in samples of the carbonaceous asteroid (162173) Ryugu
掲載誌: Science
DOI: 10.1126/science.abn9033

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小惑星リュウグウ試料中の黒い固体有機物

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)では小惑星リュウグウ試料分析を、6つのサブチームからなる「はやぶさ2初期分析チーム」および、2つの「Phase-2キュレーション機関」にて進めています。

この度「はやぶさ2初期分析チーム」のうち「固体有機物分析チーム」の研究成果をまとめた論文が、アメリカの科学誌「Science」に2023年2月24日付(日本時間)で掲載されましたのでお知らせします。

タイトル:小惑星リュウグウ試料中の黒い固体有機物
原題: Macromolecular organic matter in samples of the asteroid (162173) Ryugu
掲載誌: Science
DOI: 10.1126/science.abn9057

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小惑星リュウグウの石から太陽系最初期にできた可能性のある物質を発見─原始太陽系星雲内側で形成し、太陽から遠いリュウグウ母天体まで運ばれたか─

小惑星探査機「はやぶさ2」が地球に持ち帰った近地球軌道小惑星リュウグウの試料にコンドリュール様物質とCAIが含まれていることが「初期分析チーム」の一つである「石の物質分析チーム」の研究(https://www.sci.tohoku.ac.jp/news/20220926-12281.html)から明らかになっています。
本研究はコンドリュール様物質とCAIの詳細な化学組成分析と酸素同位体比分析を行いました。

コンドリュール様物質はカンラン石に富む初生コンドリュールと考えられている物質と鉱物学的に類似しており、太陽近傍で形成したものと現在の小惑星帯領域で形成したものに分けられることが分かりました。
CAIは、太陽系最古のCAIと同じくらい古く、太陽近傍で形成したと考えられます。コンドリュール様物質とCAIは共に直径30µm以下と小さいことから、原始太陽系星雲内側領域で形成したこれらの固体粒子のなかでも特に小さいものが選択的に太陽から遠く離れたリュウグウ母天体集積領域まで運ばれたと考えられます。
コンドリュール様物質やCAIのような固体粒子がどのようにして太陽系遠方まで運ばれたのか、未だ明確な答えは出ていません。
これを明らかにすべく、リュウグウ試料中のコンドリュール様物質とCAIの分析を更に進めます。

本研究成果は、英国ネイチャー・パブリッシング・グループ(NPG)発刊の国際学術雑誌 Nature Communicationsに、2023年2月16日(木)19時(日本時間)のオンライン版で公開されました。また、本成果は同誌の天文学・惑星科学分野でのfeatured articleに選出されました。

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日焼けで隠された水に富む小惑星リュウグウの素顔

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)では小惑星リュウグウ試料分析を、6つのサブチームからなる「はやぶさ2初期分析チーム」および、2つの「Phase-2キュレーション機関」にて進めています。

この度「はやぶさ2初期分析チーム」のうち「砂の物質分析チーム」の研究成果をまとめた論文が、イギリスの科学誌「Nature Astronomy」に2022年12月20日付(日本時間)で掲載されましたのでお知らせします。

タイトル:日焼けで隠された水に富む小惑星リュウグウの素顔
原題:A dehydrated space-weathered skin cloaking the hydrated interior of Ryugu
掲載誌:Nature Astronomy
DOI:10.1038/s41550-022-01841-6

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小惑星リュウグウ試料の希ガスおよび窒素同位体組成―リュウグウ揮発性物質の起源と表層物質進化―

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)では小惑星リュウグウ試料分析を、6つのサブチームからなる「はやぶさ2初期分析チーム」および、2つの「Phase-2キュレーション機関」にて進めています。

この度「はやぶさ2初期分析チーム」のうち「揮発性成分分析チーム」の研究成果をまとめた論文が、アメリカの科学誌「Science」に2022年10月21日付(日本時間)で掲載されましたのでお知らせします。

タイトル: 小惑星リュウグウ試料の希ガスおよび窒素同位体組成 ―リュウグウ揮発性成分の起源と表層物質進化―
原題: Noble gases and nitrogen in samples of asteroid Ryugu record its volatile sources and recent surface evolution
掲載誌: Science
DOI: 10.1126/science.abo0431

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