ペルム紀の大量絶滅に続きデボン紀の大量絶滅も大規模火山活動が原因 初めての陸上植生崩壊と大規模火山活動の同時性を実証

後期デボン紀に、植物、節足動物、脊椎動物が陸上に出揃って後初めての大量絶滅が起きました。
史上2回目の大量絶滅にあたります。最近、その地層中に水銀の濃集が発見され、大規模火山噴火がその原因として提案されました。
しかし、陸上植生が崩壊し土壌流出が起きると植物起源の水銀が海や湖に堆積するので、その水銀が火山起源とは限りません。
本専攻の海保邦夫教授(現:東北大学名誉教授)らの研究グループは、有機物高温燃焼で生成される有機分子コロネンと水銀との同時濃集を指標に、後期デボン紀の大量絶滅を構成する大中小3回の絶滅事件時に浅海で堆積した地層の岩石を分析しました。
その結果、高温の火山活動で生成されるコロネンの濃集が水銀濃集と絶滅と同時に起きていたことを世界で初めて発見し、後期デボン紀の大量絶滅の原因は大規模火山噴火であると結論づけました。
また、絶滅規模が大きい事件ほど、火山活動規模が大きいことを初めて明らかにしました。

本研究の成果は、国際誌「Global and Planetary Change」に掲載されるのに先立ち、2月20日付電子版に掲載されました。

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潮汐に由来する大気中ラドン濃度の変動を検出 ~兵庫県南部地震発生前の5年間に周期的に変動~

地震の発生前後に、地中に含まれる元素ラドンの濃度が異常に変化したという報告がなされていますが、ラドン濃度の異常な変化が生じるメカニズムと地震発生との関係など、地震予知へ利用するために検討すべき課題が数多くあります。

本専攻の長濱裕幸教授、武藤潤准教授らは、福島県立医科大学、神戸薬科大学と共同で、1995年兵庫県南部地震発生前に観測されたラドン濃度データを詳細に解析しました。
その結果、地球に周期的な荷重をもたらす潮汐に由来する変化が、ラドン濃度データに存在することが分かりました。
さらに、この周期的な変化は地震発生前5年間(1990年から1994年)のデータに認められました。
この時期はラドン観測点近傍の断層において地殻の圧縮速度が小さくなったと報告されており、これがラドンの周期的な変化が生じるきっかけとなった可能性があります。

本研究成果は、2021年2月18日付で「Scientific Reports」にオンライン掲載されました。

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千葉県より新種鉱物「房総石(ぼうそうせき)」を発見 ―天然ガスハイドレートと相似な構造を有するシリカクラスレート鉱物―

独立行政法人国立科学博物館地学研究部、国立研究開発法人産業技術総合研究所、国立大学法人東北大学、千葉県立中央博物館、国立研究開発法人物質・材料研究機構は、アマチュア研究家の西久保勝己氏、本間千舟氏、結晶形態研究者の高田雅介氏と共同で、千葉県内で採取された鉱物が新鉱物であることを突き止め、「房総石」と命名しました。
房総石は、同じく千葉県から2011年に報告された新鉱物「千葉石」を詳しく調べる過程で発見されました。
千葉石と房総石はともに、ありふれた成分である二酸化ケイ素を主成分としますが、ケイ素原子と酸素原子から構成された「かご」状の結晶構造を持ち、「かご」の内部にはメタンなどの天然ガス分子が閉じ込められています。
これらの結晶構造は、水分子による「かご」の中にガス分子が閉じ込められた天然ガスハイドレートと相似形です。

天然ガスハイドレートには、最も量の多いメタンハイドレート(別名I型)の他に、II型、H型と呼ばれる計3種が知られており、千葉石はII型、房総石はH型相当の構造をもちます。
房総石は結晶内に天然ガスを閉じ込めたタイムカプセルとみなすことができ、地層中での有機物の分解・脱ガス反応を調べる新たな手がかりになると期待されます。

本研究の成果は、英国の学術雑誌『Mineralogical Magazine』2020年12月号に掲載されました。

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浅間火山における活発なガス放出の痕跡を発見 ―過去の火山ガス活動や分布範囲の推定に道―

活火山から放出される有毒な火山ガスは、火山麓での人の居住や家畜の飼育を困難にするとともに、火山性の酸性雨やスモッグが発生する原因となります。
しかし火山ガスは、軽石のような堆積物を形成しないため、過去の火山ガス活動の規模や分布範囲はほとんど未調査でした。
本専攻の中村美千彦教授らの研究チームは、浅間前掛火山東斜面の火口から数kmまでの範囲に分布する火砕流堆積物の表面が、強酸性の水溶液と火山灰が反応して形成される非晶質シリカでコーティングされていることを見出しました。
この堆積物は1783年噴火のものであり、現在までの間に、火山性の酸性雨や酸性スモッグが活発に発生した期間があると考えられます。
本研究の手法により過去の多量の火山ガスを噴出する活動期の有無や、強酸性の火山性スモッグが頻繁に到達した範囲を推定できる可能性が明らかになりました。
このようなガス放出活動の理解は、火道の構造や、マグマ溜りの脱ガス状態の解明にも役立ちます。

本研究の成果は、2020年12月8日Journal of Volcanology and Geothermal Research誌電子版に掲載されました。

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太陽系形成より古い有機分子を炭素質隕石から検出 ~ただ古いだけじゃない!太陽系に存在する有機物生成に不可欠な分子~

北海道大学低温科学研究所の大場康弘准教授,海洋研究開発機構の高野淑識主任研究員,九州大学大学院理学研究院の奈良岡浩教授,本専攻の古川善博准教授,東京大学大学院理学系研究科の橘 省吾教授らの研究グループは,世界で初めて炭素質隕石からヘキサメチレンテトラミン(HMT)という有機分子の検出に成功しました。

星・惑星系誕生の場である星間分子雲に存在する水やアンモニア,メタノールなど比較的単純な構造を持つ分子は,極低温(-263℃)環境での光化学反応によってより複雑な構造を持つ分子へと変化し,その一部は惑星系形成時に星の材料として取り込まれます。
そのため,小惑星のかけらである隕石に含まれる有機物は星間分子の寄与があると考えられています。
HMTは星間分子雲で起こりうる光化学反応の主要生成物のため,太陽系形成の材料になったとしても不思議ではありませんが,これまでにHMTが隕石など地球外物質の分析で検出されたことはありませんでした。

本研究グループは,マーチソン隕石をはじめとする3種の炭素質隕石から世界で初めて隕石固有のHMT検出に成功しました。
隕石中HMTは主に太陽系形成(約46億年前)以前に星間分子雲で生成したと考えられ,これまで隕石から確認された中で最古の有機分子であるだけでなく,隕石に存在するアミノ酸や糖など種々の有機化合物生成に不可欠な分子です。
探査機「はやぶさ2」によって採取され,まもなく地球に帰還予定の小惑星リュウグウのサンプルにも同様にHMTが存在することが予想されるため,本研究成果は宇宙における分子進化解明の糸口になると期待されます。

なお,本研究成果は,日本時間2020年12月7日(月)午後7時(英国時間2020年12月7日(月)午前10時)公開のNature Communications誌に掲載されました。

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平川祐太さんが日本地球化学会第67回年会 学生優秀賞を受賞

本専攻の平川祐太さんが日本地球化学会第67回年会 学生優秀賞を受賞しました。
この賞は日本地球化学会年会において、きわめて優れた口頭・ポスター発表を行った日本地球化学会学生会員に授与されます。

■受賞者:博士課程前期2年 平川祐太さん
■賞 名:日本地球化学会第67回年会 学生優秀賞(口頭発表)
■受賞日:2020年11月30日
■発表タイトル:初期地球の蒸発環境における五炭糖のリン酸化に対するホウ酸の影響
■授与機関:一般社団法人 日本地球化学会

海底熱水鉱床の初期形成プロセスに微生物活動が寄与 ―海底下鉱床形成モデルを書き換える可能性―

国立研究開発法人海洋研究開発機構(理事長 松永 是)海洋機能利用部門海底資源センターの野崎達生グループリーダー代理らは、国立大学法人神戸大学、学校法人千葉工業大学、国立大学法人東北大学、国立大学法人九州大学と共同で、中部沖縄トラフの海底熱水鉱床から採取された試料を詳細に分析した結果、極めて低い硫黄同位体比組成(δ34S)を持つ黄鉄鉱(FeS2)粒子を発見し、微生物活動に由来するものであることを明らかにしました。

これまで、海底熱水鉱床を構成する硫化鉱物の沈殿や酸化・溶解に数多の微生物活動が関与しているであろうことは推測されていましたが、鉱床の形成プロセスと照らし合わせてその特定が試みられたことはありませんでした。
そこで本研究では、地球深部探査船「ちきゅう」の航海で得られた掘削コアおよび熱水噴出孔のチムニー試料を対象として、詳細な顕微鏡観察や鉱物組成測定、局所硫黄同位体分析を実施しました。

掘削コア試料に含まれる黄鉄鉱粒子は、熱水活動の重複によって鉱化作用が進む(鉱床が成長する)につれて、フランボイダル、コロフォーム、自形の組織・形状を示します。
これらの黄鉄鉱粒子について、二次イオン質量分析装置(SIMS)を用いた局所硫黄同位体分析を行った結果、フランボイダル黄鉄鉱は最低で-38.9‰(パーミル:千分率)という極めて低い同位体比組成を有し、フランボイダル⇒コロフォーム⇒自形と組織・形状が変わるにつれて、高い硫黄同位体比組成に漸移することがわかりました。

このような大きな硫黄の同位体分別を起こし得るメカニズムは、硫酸還元バクテリアによる海水の硫酸還元プロセスしか知られていません。
また、低い硫黄同位体比組成を持つフランボイダル黄鉄鉱は、鉱化作用が進むにつれて海底熱水鉱床を構成する黄銅鉱(CuFeS2)、方鉛鉱(PbS)、閃亜鉛鉱(ZnS)などの他の硫化鉱物によってしばしば置換されています。
したがって、フランボイダル黄鉄鉱は海底熱水鉱床を構成する硫化鉱物の出発物質・核として機能しており、鉄や硫黄などの材料を供給していると考えられます。
この初期出発物質であるフランボイダル黄鉄鉱は、微生物による硫酸還元プロセスを経た硫黄を材料としていることから、海底熱水鉱床の初期形成プロセスには海底下の微生物活動が重要な役割をしており、鉱床生成を誘発・促進していると考えられます。

今後、他の海域の掘削コア試料や33S・36Sも含めたマルチ硫黄同位体分析を行い、海底熱水鉱床生成と微生物活動寄与の詳細を解明していく予定です。

本成果は、米国のThe Geological Society of America(GSA)が発行する学術雑誌「Geology」に10月7日付けで掲載されました。

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沈み込み帯における多成分流体の性質を解明 ―沈み込み帯の流体分布の解明に期待―

沈み込んだプレートから放出される流体には二酸化炭素成分が少量含まれているため、その流体挙動への影響を評価する上で、鉱物への濡れ性の化学組成依存性を明らかにすることが課題となっていました。
本専攻の中村美千彦教授らの研究チームは、二酸化炭素と塩を含む水を主成分とした多成分超臨界流体の鉱物粒間への浸透性の研究を行い、沈み込み帯における多成分流体の輸送モデルを提案しました。
これまで、流体中に二酸化炭素が含まれると、流体は鉱物表面を濡らしにくく、鉱物粒間を浸透して移動できないと考えられていましたが、実験の結果、鉱物の炭酸塩化反応と塩分の影響で、流体が鉱物表面を濡らしやすくなることが明らかになりました。
このような流体の性質の理解は、地震波や電磁気の観測に基づいた沈み込み帯の流体分布やマグマ発生原因の解明にも役立ちます。

本研究の成果は、2020年10月5日Earth and Planetary Science Letters誌電子版に掲載されました。

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栗林貴弘准教授が櫻井賞(第45回)を受賞

本専攻 栗林 貴弘 准教授 が、新鉱物「日立鉱」の発見と新鉱物の研究への貢献により、ウェブにて開催されました日本鉱物科学会2020年年会におきまして2019年度櫻井賞(第45回)を受賞しました。
この賞は、日本鉱物科学会が新鉱物の発見によって鉱物科学の発展に著しく貢献した会員へ贈られます。

■受賞日:2020年9月18日
■受賞名:日本鉱物科学会 2019年度櫻井賞(第45回)
■授与機関:日本鉱物科学会

隕石衝突でアミノ酸生成 太古の地球と火星では大気主成分を材料として生命分子が生成された!

生命誕生前の地球の大気は二酸化炭素と窒素が主成分と考えられており、そのような環境で生命の材料分子が生成する条件は非常に限定的と考えられてきました。
本専攻の古川善博准教授らの研究グループは、二酸化炭素、窒素ガスを炭素源と窒素源として、太古の地球に小惑星や隕石が高速で衝突することによって、タンパク質を作るアミノ酸が生成することを明らかにしました。
この研究結果は、地球上において普遍的に存在した大気成分から生命材料が生成したことを示しています。
また、約40億年前の火星においても、同様の現象で化学進化(生命誕生までの化学反応)の初期段階であるアミノ酸の生成が起こっていた可能性を示しています。

本研究成果は2020年6月8日(月)公開の英国科学誌Scientific Reportsに掲載されました。

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