地球温暖化が海洋プランクトンに及ぼす深刻な影響過去100年間のデータベースの解析で判明

地球温暖化により、私達に身近な動植物の生息域の変化が、既に世界中で多く報告されています。

本専攻の黒柳 あずみ准教授らの国際研究チームは、過去100年間の世界中の海洋プランクトンのデータベースを解析し、その個体数が過去80年だけで約24%(24.24±0.11%)減少していることを明らかにしました。
地球温暖化に伴い、より低温の場所へ年10キロ移動し、生息域を変化させていますが、今後、特に熱帯域では、生息域の変化だけでは絶滅を免れない種が出ることが予想されます。

今回の成果の基となったデータベースは、フランスの生物多様性研究財団(FRB)の生物多様性統合解析センター(CESAB)のプロジェクト(FORCIS)により作成されました。海洋プランクトンは地球上の炭素循環にとっても重要な生物です。
データベースの作成には、日本人研究者らの研究成果が大きく貢献しています。

本研究成果は2024年11月13日(現地時間)に科学誌Natureに掲載されました。

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19億年前の微生物もリンを含む細胞膜を使っていた 超高解像度の新手法によって初期生命の細胞膜の可視化に成功!

太古の生物が、現在の生物と同じ元素を使って生息していたのかどうかはよくわかっていません。

本専攻の石田章純助教をはじめとする研究チームは、約19億年前の微生物の化石(微化石)を用いた新しい分析手法を開発しました。
この手法は、従来困難だった微化石内部の微量元素を高精度かつ高解像度で検出するもので、特にリン脂質に由来する細胞膜中のリンと、代謝の痕跡である酵素に関連するモリブデンの検出に世界で初めて成功しました。
これにより、約19億年前の微生物にも、現代のバクテリアと同様の細胞膜と代謝をすでに獲得していた直接的な証拠を示すことができました。

本研究成果は、生命の進化過程を解明する上で重要な手がかりを提供します。
将来的には、この手法をより古い地質時代の試料に適用することで、初期地球の生命進化の研究に大きな進展をもたらすことが期待されます。

本成果は9月20日18時(日本時間)、科学誌Scientific Reports に掲載されました。

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角南沙己さんが日本地球化学会第71回年会 学生優秀賞を受賞

9⽉18⽇-20⽇に金沢大学で開催された日本地球化学会 第71回年会において、角南沙己さんが学生優秀賞を受賞しました。

この賞は、きわめて優れた口頭・ポスター発表を行った日本地球化学会学生会員に授与されるものです。

角南沙己(地学専攻博士課程前期1年)

発表タイトル: LON 94101 隕石と模擬実験生成物の糖含有量分析で探る小惑星水質変質の糖に対する影響

松本恵助教が日本鉱物科学会研究奨励賞を受賞

2024年9月12(木)-14日(土)に名古屋大学で開催された日本鉱物科学会2024年度年会において、松本恵助教が日本鉱物科学会研究奨励賞を受賞しました。

この賞は鉱物科学およびその関連分野において顕著な研究業績をあげた若手の会員に対し、研究の奨励を目的として贈られる賞です。

福島諒さんと吉田聡研究員が日本地質学会研究奨励賞を受賞

2024年の日本地質学会研究奨励賞を地学専攻の福島諒さんと東北アジア研究センターの吉田聡研究員が受賞しました。
この賞は「地質学雑誌」あるいは 「Island Arc」に優れた論⽂を発表した満32才未満の会員に贈られます。

福島 諒(博士課程後期3年; 地殻化学グループ

Fukushima, R., Tsujimori, T., Aoki, S., and Aoki, K., 2021, Trace-element zoning patterns in porphyroblastic garnets in low-T eclogites: Parameter optimization of the diffusion-limited REE-uptake model. Island Arc, 30, e12394.

吉田 聡(学術研究員; 地殻化学グループ

Yoshida, S., Ishikawa, A., Aoki, S., and Komiya, T., 2021, Occurrence and chemical composition of the Eoarchean carbonate rocks of the Nulliak supracrustal rocks in the Saglek Block of northeastern Labrador, Canada. Island Arc, 30, e12381.

日本地質学会第131回学術大会で学生優秀発表賞を受賞

9月8-9日に山形大学で開催された日本地質学会第131回学術大会で地学専攻の多数の学生が、優れた学生会員の発表に対して授与される学生優秀発表賞を受賞しました。

島田知弥(博士課程前期2年; 断層・地殻力学グループ

X線光電子分光法(XPS)を用いた断層破砕帯中の酸化グラフェンの同定と化学状態の解析

辻本大暉(博士課程前期1年; 地質・古海洋グループ

重鉱物元素組成による紀伊半島の中期中新世火砕流堆積物の対比

志関弘平(博士課程後期1年; 地殻化学グループ

高圧変成蛇紋岩中の変成かんらん石を切る極細粒含水かんらん岩マイクロベインの成因とその地質学的意義:青海メランジュの例

福島諒(博士課程後期3年; 地殻化学グループ

アルマンディンざくろ石の局所U–Pb年代で読み解く海洋地殻の冷却時間:中米グアテマラ産ローソン石エクロジャイトの

原田浩伸(博士課程後期3年; 地殻化学グループ

四国中央部三波川帯産泥質片岩に含まれる炭質物の顕微ラマン分光分析:広域的な温度構造の理解に向けて
放射光粉末X線回折測定の岩石学的研究への導入:四国中央部三波川帯での検証

武田与(博士課程前期1年; 炭酸塩堆積学・地球化学グループ

鹿児島県沖永良部島に分布する琉球層群の層序

葭井功輔(博士課程後期1年; 炭酸塩堆積学・地球化学グループ

オーストラリア北西沖大陸棚で採取された間隙水の水素・酸素同位体組成

受賞者一覧

高橋尚志助教が日本第四紀学会論文賞・奨励賞を受賞

2024年8月31日、日本第四紀学会2024年大会(仙台)において、高橋尚志助教が日本第四紀学会論文賞・奨励賞を受賞しました。

日本第四紀学会論文賞は、過去 2 年間の当学会が刊行する学術雑誌「第四紀研究」に掲載された論文と著者を対象として、会員からの推薦を参考に学会の論文賞選考委員会によって選考されます。加えて、35 歳以下の筆頭著者会員は奨励賞の対象となります。いずれも、毎年1~2件程度に授与されます。

受賞者:高橋尚志(自然災害学グループ,助教)

受賞論文:論説 高橋尚志・青木かおり・村田昌則・小林 淳・鈴木毅彦(2022)伊豆諸島北部,利島における更新世末期の流紋岩質テフラの層序.第四紀研究,No. 61-3,pp. 87-107.

過去の桜島噴火に共通したマグマ上昇の経時現象を解明―大規模噴火の予測と事前の防災計画に道―

将来の火山災害のリスクを軽減するためには、過去の火山噴火の誘発過程(噴火に至るまでに地下でいつ・どのような現象が起きていたか)を理解することが重要です。

本専攻の新谷直己助教と中村美千彦教授らの研究グループは、鹿児島県の桜島火山において人類が記録に残した有史以降に発生した三度の大規模噴火(1471年、1779 年、1914 年)で噴出した軽石に含まれる鉱物の微細な化学組成を調べました。
その結果、姶良(あいら)カルデラの深さ約10 kmのマグマ溜まりから火道の浅部(深さ1~3 km程度)へと上昇したマグマは、約50日程度以上停滞した後に、再び上昇を開始してからは、ごく短時間(動き出してから数日以内)で地表に達していたことがわかりました。

今回、過去の大規模噴火に共通したマグマの上昇過程を詳細に明らかにしたことで、前兆現象を引き起こした原因の解明が進み、将来の噴火発生予測技術の向上への貢献が期待されます。
また、将来もし同様の大規模噴火が起こる場合には、マグマがこのような複雑な動きをする可能性があることも考慮した防災計画をたてておくことが必要だと考えられます。

本成果は、8月27日に地球科学分野の専門誌Journal of Geophysical Research: Solid Earthに掲載されました。

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小惑星リュウグウに存在するマグネシウム炭酸塩の形成史と始原的なブライン(brine)の化学進化を解明

国立研究開発法人海洋研究開発機構(理事長 大和 裕幸、以下「JAMSTEC」という。)海洋機能利用部門 生物地球化学センターの吉村 寿紘(としひろ)副主任研究員と高野 淑識(よしのり)上席研究員、国立研究開発法人産業技術総合研究所の荒岡 大輔 主任研究員、国立大学法人九州大学大学院理学研究院の奈良岡 浩 教授らの国際共同研究グループは、国立大学法人東京大学、株式会社堀場テクノサービス、国立大学法人北海道大学、国立大学法人東京工業大学、国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学の研究者らとともに、小惑星リュウグウのサンプルに含まれるブロイネル石(Breunnerite)(*1)などのマグネシウム鉱物や始原的なブライン(brine)(*2)の精密な化学分析を行うことで、その組成や含有量などを明らかにしました。

小惑星リュウグウは、地球が誕生する以前の太陽系全体の化学組成を保持する、最も始原的な天体の一つです。
これまでさまざまな研究グループの分析により、鉱物・有機物と水が関わる水質変成(2023年9月18日既報、2024年7月10日既報)が明らかとなってきましたが、いわゆる「ブライン(brine)の化学組成とイオン性成分の沈殿」に関する反応履歴は、未だ不明のままでした。

そこで本研究では、小惑星リュウグウのサンプルから微小な炭酸塩鉱物(ブロイネル石)の単離・同定と陽イオン成分の溶媒抽出を行い、精密な化学組成分析を行いました。
その結果、リュウグウに含まれる鉱物と最後に接触した水の陽イオン組成は、ナトリウムイオン(Na+)に富んでいることがわかりました。
リュウグウにはマグネシウムに非常に富む鉱物が複数存在しており、これらが水からマグネシウムを除去した際の沈殿順序を解明しました。
ナトリウムイオンは、鉱物や有機物の表面電荷を安定化させる電解質として働いたと考えられます。

本成果は、初期の太陽系の化学進化を紐解くものであるとともに、始原的なブライン(brine)の物質情報、炭素質小惑星上での水-鉱物相互作用の一次情報を提供した重要な知見となります。

本研究の一部は、科研費 基盤研究(課題番号:21H01204・20H00202・21H04501・21H05414)、国際共同研究加速基金(国際共同研究強化、21KK0062)、学術変革領域研究(21H05414)、特別研究員奨励費(21J00504)による研究助成の支援を受けて実施されました。

本成果は、2024年9月5日付(日本時間)で科学誌「Nature Communications」に掲載されました。

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