地球の内核の構造を解明 ~異なる結晶構造をもつ二種の鉄合金の混合物からなる地球の内核~

地球内核の構造と物質は、地球科学にとって未解明な最重要課題の一つです。
本専攻の生田大穣博士、大谷栄治名誉教授、高輝度光科学研究センターの平尾直久主幹研究員は、大型放射光施設SPring-8のBL10XUにおける世界最高輝度の放射光X線とダイヤモンドアンビルセルを用いた地球核の条件での高温高圧実験によって、Fe-Ni-Si合金の相平衡関係を明らかにしました。
そしてこの合金の融点付近の高温高圧下においてB2構造とHcp構造という二つの結晶構造が共存する領域が存在することを解明しました。
この実験から、地震波観測で明らかになっている内核の密度と縦波速度は、B2とHcp構造の二種の結晶構造をもつFe-Ni-Si合金の混合物で説明できることがわかりました。
また、これまで指摘されてきた遅い横波速度、低い粘性率などの内核の特徴がこの二種の結晶構造を持つFe-Ni-Si合金の混合物よって説明出来る可能性があることを示しました。

本研究成果は、日本時間2021年10月28日午後6時(英国時間:2021年10月28日午前10時)公開のCommunications Earth & Environment誌に掲載されました。

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地震波速度と電気伝導度を統合解析し、地球内部の水やマグマをとらえる

地球内部の液体(水やマグマ)は、流動しやすいために物質やエネルギーを速く輸送し、また周囲の固体物質と化学反応を起こして大きな物性変化をもたらす。
このため、地震・火山活動および地球全体の進化に重要な役割を担うと考えられているにもかかわらず、どこにどれだけ存在するかをイメージングすることが難しい。
特に、地震や火山活動の主な場である深さ60㎞程度までの領域は、岩石の種類が多様であり、従来の主要なイメージング手法である地震波の伝わり方の解析のみからでは、岩石や液体の種類・有無を検証することが難しい。
東京大学地震研究所の岩森光教授らは、地球内部の地震波伝播速度と電気伝導度を統合解析することにより、岩石と液体の種類、量比、分布形状を推定する手法を開発した。
この手法を用いることにより、地殻とマントル最上部の構造イメージングが大きく進み、災害要因としての地震・火山活動のしくみの理解に資すると期待される。

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模擬実験で隕石アミノ酸の同位体組成を再現 -小惑星有機物の主要生成反応のひとつが明らかに-

隕石に含まれるアミノ酸や糖、核酸塩基などの低分子有機物は、その特異的な炭素同位体組成(13Cの濃縮)から、太陽系外縁部や太陽集積前の極低温環境でできた分子から作られたと考えられてきました。

本専攻の古川善博准教授、岩佐義成さん(当時博士課程前期2年)、北海道大学低温科学研究所の力石嘉人教授の研究グループは、隕石に含まれる主要な有機物である不溶性有機物とアミノ酸や糖などの低分子有機物との間に存在する大きな炭素同位体組成の差が、隕石有機物の生成反応の一つとして提案されてきたホルモース型反応によって再現できることを明らかにしました。

本研究の成果によって、小惑星に含まれるアミノ酸や糖などの低分子有機物は、これまで考えられていたよりもはるかに広範囲に分布した一般的な材料から生成されていたことが示されました。

本研究成果は、2021年4月29日に米国科学振興協会(AAAS)が発行する『Science Advances』で公開されました。

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大阪北部地震前の大気中ラドン濃度の減少を検出 ~本震前の地震活動静穏化が原因~

地震の前には様々な異常が起こることが報告されています。地震前に地殻に存在する放射性元素であるラドン(222Rn)の濃度が増加することもその1つです。
これまで、大地震の本震前の前震活動やゆっくりすべりなどで、大気中のラドン濃度が増加することが知られていました。

本専攻の長濱裕幸教授、武藤潤准教授らの研究グループは、大阪医科薬科大学、神戸薬科大学と共同で、2018年6月18日の大阪北部地震発生前後に大阪医科薬科大学で観測された大気中ラドン濃度データを詳細に解析しました。
その結果、2014年から観測されていた大気中ラドン濃度は、地震の約1年前から減少し、本震後2020年6月まで低いことがわかりました。
一方、観測点周辺での地震活動は地震前に比べて減少していました。
さらに、本震後の地震活動も、余震域を除く近畿地方全域で低下しており、これが地震後にラドン濃度が増加しなかった原因と考えられます。
本研究は、大地震前の静穏化に伴って、大気中のラドン濃度が低下することを世界に先駆けて明らかにしました。
大気中のラドン濃度を用いて、大地震に伴う様々な地殻変動を明らかにできる可能性が得られました。

本研究成果は、2021年4月2日付で「Scientific Reports」にオンライン掲載されました。

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環境・地球科学国際共同大学院プログラムが令和2年度総長教育賞を受賞

環境・地球科学国際共同大学院プログラムが令和2年度総長教育賞を受賞しました。

総長教育賞は、本学の教育理念に基づき、誠意と熱意をもって職務に取り組まれ優れた教育の成果を挙げた教職員を表彰するものです。
本来であれば、学位記授与式において、多くの卒業生・修了生にその功績を紹介するとともに、授与しておりましたが、本年度はコロナ対応ということもあり、3月15日に総長から賞状が授与されました。

受賞理由:
環境・地球科学分野における大学院の国際共同教育の実践に貢献し、2016年10月の開始以来、10を超える海外有力大学と協定を結び、本学から9名のジョイントリー・スーパーバイズド・ディグリー取得学生および2名のダブルディグリー取得学生、連携先のドイツ・バイロイト大学から3名のジョイントリー・スーパーバイズド・ディグリー取得学生を輩出し、理学研究科の外部評価においても高く評価されたことから、選考の結果、総長教育賞に相応しいと判断されました。

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ペルム紀の大量絶滅に続きデボン紀の大量絶滅も大規模火山活動が原因 初めての陸上植生崩壊と大規模火山活動の同時性を実証

後期デボン紀に、植物、節足動物、脊椎動物が陸上に出揃って後初めての大量絶滅が起きました。
史上2回目の大量絶滅にあたります。最近、その地層中に水銀の濃集が発見され、大規模火山噴火がその原因として提案されました。
しかし、陸上植生が崩壊し土壌流出が起きると植物起源の水銀が海や湖に堆積するので、その水銀が火山起源とは限りません。
本専攻の海保邦夫教授(現:東北大学名誉教授)らの研究グループは、有機物高温燃焼で生成される有機分子コロネンと水銀との同時濃集を指標に、後期デボン紀の大量絶滅を構成する大中小3回の絶滅事件時に浅海で堆積した地層の岩石を分析しました。
その結果、高温の火山活動で生成されるコロネンの濃集が水銀濃集と絶滅と同時に起きていたことを世界で初めて発見し、後期デボン紀の大量絶滅の原因は大規模火山噴火であると結論づけました。
また、絶滅規模が大きい事件ほど、火山活動規模が大きいことを初めて明らかにしました。

本研究の成果は、国際誌「Global and Planetary Change」に掲載されるのに先立ち、2月20日付電子版に掲載されました。

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潮汐に由来する大気中ラドン濃度の変動を検出 ~兵庫県南部地震発生前の5年間に周期的に変動~

地震の発生前後に、地中に含まれる元素ラドンの濃度が異常に変化したという報告がなされていますが、ラドン濃度の異常な変化が生じるメカニズムと地震発生との関係など、地震予知へ利用するために検討すべき課題が数多くあります。

本専攻の長濱裕幸教授、武藤潤准教授らは、福島県立医科大学、神戸薬科大学と共同で、1995年兵庫県南部地震発生前に観測されたラドン濃度データを詳細に解析しました。
その結果、地球に周期的な荷重をもたらす潮汐に由来する変化が、ラドン濃度データに存在することが分かりました。
さらに、この周期的な変化は地震発生前5年間(1990年から1994年)のデータに認められました。
この時期はラドン観測点近傍の断層において地殻の圧縮速度が小さくなったと報告されており、これがラドンの周期的な変化が生じるきっかけとなった可能性があります。

本研究成果は、2021年2月18日付で「Scientific Reports」にオンライン掲載されました。

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千葉県より新種鉱物「房総石(ぼうそうせき)」を発見 ―天然ガスハイドレートと相似な構造を有するシリカクラスレート鉱物―

独立行政法人国立科学博物館地学研究部、国立研究開発法人産業技術総合研究所、国立大学法人東北大学、千葉県立中央博物館、国立研究開発法人物質・材料研究機構は、アマチュア研究家の西久保勝己氏、本間千舟氏、結晶形態研究者の高田雅介氏と共同で、千葉県内で採取された鉱物が新鉱物であることを突き止め、「房総石」と命名しました。
房総石は、同じく千葉県から2011年に報告された新鉱物「千葉石」を詳しく調べる過程で発見されました。
千葉石と房総石はともに、ありふれた成分である二酸化ケイ素を主成分としますが、ケイ素原子と酸素原子から構成された「かご」状の結晶構造を持ち、「かご」の内部にはメタンなどの天然ガス分子が閉じ込められています。
これらの結晶構造は、水分子による「かご」の中にガス分子が閉じ込められた天然ガスハイドレートと相似形です。

天然ガスハイドレートには、最も量の多いメタンハイドレート(別名I型)の他に、II型、H型と呼ばれる計3種が知られており、千葉石はII型、房総石はH型相当の構造をもちます。
房総石は結晶内に天然ガスを閉じ込めたタイムカプセルとみなすことができ、地層中での有機物の分解・脱ガス反応を調べる新たな手がかりになると期待されます。

本研究の成果は、英国の学術雑誌『Mineralogical Magazine』2020年12月号に掲載されました。

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浅間火山における活発なガス放出の痕跡を発見 ―過去の火山ガス活動や分布範囲の推定に道―

活火山から放出される有毒な火山ガスは、火山麓での人の居住や家畜の飼育を困難にするとともに、火山性の酸性雨やスモッグが発生する原因となります。
しかし火山ガスは、軽石のような堆積物を形成しないため、過去の火山ガス活動の規模や分布範囲はほとんど未調査でした。
本専攻の中村美千彦教授らの研究チームは、浅間前掛火山東斜面の火口から数kmまでの範囲に分布する火砕流堆積物の表面が、強酸性の水溶液と火山灰が反応して形成される非晶質シリカでコーティングされていることを見出しました。
この堆積物は1783年噴火のものであり、現在までの間に、火山性の酸性雨や酸性スモッグが活発に発生した期間があると考えられます。
本研究の手法により過去の多量の火山ガスを噴出する活動期の有無や、強酸性の火山性スモッグが頻繁に到達した範囲を推定できる可能性が明らかになりました。
このようなガス放出活動の理解は、火道の構造や、マグマ溜りの脱ガス状態の解明にも役立ちます。

本研究の成果は、2020年12月8日Journal of Volcanology and Geothermal Research誌電子版に掲載されました。

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