34億年前の海洋に生物的硫黄代謝の痕跡―太古の浅瀬は生命にとっての”硫黄のオアシス”だった?―

東京大学大気海洋研究所の笹木晃平特任研究員および高畑直人助教、千葉大学大学院理学研究院の石田章純准教授、本専攻の掛川武教授、名古屋大学大学院環境学研究科の杉谷健一郎教授らからなる研究チームは、約34億年前の岩石から地球史初期の生命が硫酸イオン(SO42-)を使って呼吸していた痕跡を見出しました。

本研究で調べたのは、岩石の中にある直径0.01mmより小さい同心円状の黄鉄鉱(FeS2) です。
最新の分析装置であるナノスケール二次イオン質量分析計(NanoSIMS)を用いて、この小さな黄鉄鉱組織の内部における硫黄同位体比(δ34S)の変動を、世界で初めて高精度に分析することに成功しました。
さらにその中の有機物(生物の材料となる炭素を含む物質)の分布や同位体比の特徴を調べると、この黄鉄鉱形成には硫酸で呼吸を行う微生物活動が関わったことが明らかになりました。
大気に酸素がほとんど存在しなかった当時、海では一般に主要な栄養源である硫酸イオンも極めて乏しかったと考えられてきました。
しかし本研究の分析結果は、太古代の浅瀬環境の一部では硫酸が比較的に多い場所があり、そこが初期生命にとっての「オアシス」になっていた可能性を示しています。

本研究成果は、太古代の生命がどんな環境で生き、どんな仕組みでエネルギーを得ていたのかを理解する手掛かりになります。
さらに、今後の地球の生命起源研究や古環境復元研究、地球外生命を探す研究にも役立つことが期待されます。

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