リンはDNAやRNAなど生命に不可欠な生体分子を構成する元素です。これまで太古代の海洋ではリンが極度に枯渇していたと考えられており、初期生命がなぜリンを利用し始めたのかは未解明でした。
本専攻の塚本雄也 大学院生(研究当時)、掛川武 教授の研究グループは、西オーストラリアに産する約35億年前の海底を構成した岩石のコア試料を用い、当時の熱水活動により岩石からリンが著しく溶脱していたことを明らかにしました。さらに溶脱は高濃度の二酸化炭素を含む熱水によることを突き止め、当時の海底熱水活動が海洋への重要なリン供給源であった可能性を定量的に示しました。本成果は、熱水活動が初期生命にとって不可欠な元素の循環に寄与していたことを示し、生命起源と進化に関する研究に重要な情報を提供するものです。
本成果は、2025年6月18日に科学誌Geochimica et Cosmochimica Acraのオンライン版で公開されました。
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