放射光X線が地球核の化学組成を変える-新しい絶対圧力スケールを決定-

理化学研究所(理研)放射光科学研究センター物質ダイナミクス研究グループのアルフレッド・バロン グループディレクター、本専攻の生田大穣特任研究員(研究当時)、大谷栄治名誉教授らの研究チームは、カールスルーエ工科大学量子材料科学研究所のロルフ・ハイト副所長との国際共同研究で、新たな絶対圧力スケール[1](状態方程式)を決定し、それに基づいて、地球の核の化学組成に変更を迫る成果を発表しました。
本研究成果は、太陽系外惑星の内部構造だけでなく、数百万気圧の高圧下における、物理学、化学、材料科学に関連するあらゆる物質の振る舞いに再評価を迫る重要な結果です。

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本専攻の学生5名が日本地球惑星科学連合2023年大会で学生優秀発表賞を受賞しました

本専攻の下記学生5名が日本地球惑星科学連合2023年大会において学生優秀発表賞を受賞しました。
受賞者と発表タイトルは以下のとおりです。

増田 英敏 さん(博士課程前期2年)
「津波堆積物の広域分布を用いたすべり分布逆推定の数値実験」

南舘 健太 さん(博士課程後期3年)
「津波,地震,台風の既往最大規模評価に向けた沿岸巨礫堆積物の活用」

佐藤 由人 さん(博士課程前期1年)
「常磐海岸における古津波履歴の解明」

渡辺 詩文 さん(博士課程前期1年)
「火山噴煙中での火山灰・ガス反応に伴う硫酸塩生成の数値計算と噴煙からの硫黄除去への応用」

飯島 颯大 さん(博士課程前期1年)
「カナダ・ガンフリント層(19億年前)ストロマトライト形成場の浅海熱水・シープ活動に関する地質学的,地球化学的研究」

小惑星リュウグウを作った原材料物質と太陽系外縁部の天体を構成する始原的な塵との分光学的関連性

リュウグウは、太陽系初期に形成された母天体がその後破壊され、その破片が再集積してできたC型(炭素質) 小惑星です。2020年、小惑星探査機「はやぶさ2」は地球に5.4 gのリュウグウ試料を持ち帰りました。リュウグウ試料の初期分析の結果、リュウグウ試料の大部分は、リュウグウの母天体を最初に構成していた始原的な無水物質と、液体の水が化学反応し形成された含水鉱物でできていることがわかりました。一方、いくつかの試料には、ほとんど水と反応をしていない岩片(極小変質岩片)があることも分かりました (Nakamura T. et al, 2022)。

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沈み込む海洋地殻の水の保持能力とその変化の一端を解明〜沈み込み帯の成熟が地球深部への水の輸送を促進〜

海洋プレートの沈み込み帯では、水を保持した海洋プレートの脱水反応が引き金となって、地震活動や火山活動が誘発されます。
沈み込み帯深部において約11.5重量%と含水量の高い(ローソン石を含む変成海洋地殻「ローソン石エクロジャイト」の形成は、沈み込みが帯における水や微量元素の循環及び地球深部への物質輸送において重要な役割を果たすと考えられています。

一方で、世界の造山帯(注3)においてローソン石エクロジャイトはあまり存在せず、沈み込む海洋地殻の実像やローソン石エクロジャイトの普遍性については多くの議論がなされてきました。

今回、東北大学東北アジア研究センター(兼務 本専攻)の辻森 樹教授とイリノイ大学シカゴ校地球環境科学科のデイビッド・エルナンデス=ウリベ博士の国際研究チームが行った最新の研究により、海洋プレートの沈み込み過程におけるローソン石エクロジャイトの存在条件と、沈み込み帯の成熟に伴う水の保持能力の変化が明らかになりました。

本成果は、2023年7月1日、米国地質学会の専門誌Geologyの電子版にオープンアクセス論文として掲載されました。

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巨大地震後の地盤変動を解析する新手法を開発GNSS観測データから東北地方太平洋沖地震後10年後の地盤変動を従来技術の約10分の1の高精度で予測

2011年の東北地方太平洋沖地震(以下、東北沖地震)から10年が経過した現在も、東北地方では活発な地殻変動が続いており、沿岸部の漁港などで実際に生活への影響が出ていることが問題となっています。
地殻変動はGNSSにより記録されていますが、従来の解析手法は計算コストが高く、地盤の高さを予測すると実測値と10センチメートル(年平均1センチメートル)程度異なるという不確実さがありました。

本専攻のダル サムブッダ特任助教と武藤潤教授は、2011年東北沖地震後の複雑な地盤変動を解析する革新的手法を開発しました。
従来の複雑な力学モデルに代わり、GNSS観測の時系列データを関数モデルで調整することで、地震発生から10年後の地盤変動についても観測と予測との誤差を1センチメートル(年平均1ミリメートル)以下に抑えた精度で予測することができます。

最低2年間の連続GNSS時系列データを用いて、最小限の計算リソースで地震後の地盤の動きが予測でき、それを引き起こす上部マントルの流動とプレート境界断層の「ゆっくりすべり」を検出できます。

今後、GNSS連続記録が得られる他地域にも適用可能で、巨大地震後の地盤変動解析や津波防災に大きく貢献することが期待されています。

本研究成果は、5月3日に科学誌Geophysical Research Lettersに掲載されました。

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軽石のナノスケール岩石学から福徳岡ノ場の新しい噴火モデルを提案~マグマの酸化が噴火の引き金に~

国立研究開発法人海洋研究開発機構(理事長 大和裕幸、以下「JAMSTEC」)海域地震火山部門 火山地球内部研究センター 固体地球データ科学研究グループの吉田健太副主任研究員らは、京都大学、東北大学、静岡大学、高エネルギー加速器研究機構と共同で、南西諸島(沖縄・鹿児島)に漂着した福徳岡ノ場由来の噴火噴出物(軽石)のナノスケール分析を行った結果、黒色軽石部分が10-20nm程度の磁鉄鉱、100nm程度の黒雲母、300nm程度の単斜輝石のナノ粒子(ナノライト)を含んでいることを新たに見出しました。
また、放射光分析によりガラス中の鉄の酸化還元状態を調べたところ、ナノ粒子を含む黒色軽石部分は、灰色軽石部分よりも鉄が酸化されていることが分かりました。
これらの分析結果と熱力学的な解析により、2021年の噴火の際、火山のマグマ溜まり内では地下深くから上昇してきた玄武岩マグマから水が供給されることで福徳岡ノ場のマグマ溜まりの一部が酸化されてナノ粒子が生じ、形成されたナノ粒子がマグマの発泡を促したことで爆発的な噴火に至ったことを明らかにしました。
ナノ粒子形成と火山噴火現象の関わりは近年盛んに研究されている話題ではありますが、今回ナノ粒子の鉱物種と形成条件を詳しく調べることで、これまで通説であった過冷却によるナノ粒子形成モデルとは異なる、マグマ溜まり内部でのナノ粒子形成が爆発的噴火の要因となる新しい噴火モデルを提案しました。

本成果は、JSPS科研費JP19K14825、JP19H01999、JP20H00198、JP20H00205、JP 22K03755、JP18KK0376、JP19H00834、JP22H05109、JP21H01195の支援を受けて行われました。また高エネルギー加速器研究機構での共同利用課題番号2020G008、2021G634、2022S2-001の成果を一部利用しています。

本成果は、「Scientific Reports」に5月9日付け(日本時間)で掲載されました。

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地圏環境科学科 土谷真由さんが第24回「環境放射能」研究会 奨励賞を受賞

当地球科学系 地圏環境科学科 土谷真由さんが第24回「環境放射能」研究会 奨励賞を受賞しました。

受賞日 : 2023年3月8日
発表タイトル : ランダムフォレスト解析を用いた大気中ラドン濃度変動による地震の先行現象の検出

「環境放射能」研究会website 研究会奨励賞

炭素質小惑星(162173)リュウグウの試料中の可溶性有機分子

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)では小惑星リュウグウ試料分析を、6つのサブチームからなる「はやぶさ2初期分析チーム」および、2つの「Phase-2キュレーション機関」にて進めています。

この度「はやぶさ2初期分析チーム」のうち「可溶性有機物分析チーム」の研究成果をまとめた論文が、アメリカの科学誌「Science」に2023年2月24日付(日本時間)で掲載されましたのでお知らせします。

タイトル:炭素質小惑星(162173)リュウグウの試料中の可溶性有機分子
原題: Soluble organic molecules in samples of the carbonaceous asteroid (162173) Ryugu
掲載誌: Science
DOI: 10.1126/science.abn9033

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小惑星リュウグウ試料中の黒い固体有機物

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)では小惑星リュウグウ試料分析を、6つのサブチームからなる「はやぶさ2初期分析チーム」および、2つの「Phase-2キュレーション機関」にて進めています。

この度「はやぶさ2初期分析チーム」のうち「固体有機物分析チーム」の研究成果をまとめた論文が、アメリカの科学誌「Science」に2023年2月24日付(日本時間)で掲載されましたのでお知らせします。

タイトル:小惑星リュウグウ試料中の黒い固体有機物
原題: Macromolecular organic matter in samples of the asteroid (162173) Ryugu
掲載誌: Science
DOI: 10.1126/science.abn9057

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