研究グループ一覧

断層・地殻力学グループ

教授 長濱 裕幸 岩石破壊力学、地球連続体力学、地震予測
教授 中村 教博
(高度教養教育・学生支援機構)
地球惑星磁気学、磁場、隕石
准教授 武藤 潤 構造地質学、実験岩石力学
講師 遅沢 壮一 構造地質学、変成岩岩石学、プレートテクトニクス

断層の物質から地震を探る

断層の物質から地震を探る

地震はどのようにして発生し、停止するのだろうか? 発生する地震波は豊富な情報源ですが、深いボーリングで地震断層を掘り抜いたり、地表に露出する過去の断層の岩石から地下深部での断層の性質を調べることもできます。断層岩を電子顕微鏡、EPMA、帯磁率測定装置などで分析した結果、1995年の兵庫県南部地震や1999年の台湾集集地震では、断層面が摩擦熱で溶融してしまったようです。

断層の物質から地震を探る

このようにして、「地下深部の断層で何が起きたのか」が分かります。次に、私たちは様々な方法でそれらの再現実験に取り組みます。震源の深さに相当する圧力や温度を室内に再現する装置が、ガス圧式高温高圧岩石変形試験機です。この試験機で、応力、断層すべり量、電磁シグナルなどを5MHzで8チャンネル同期連続収録でき、地震を模擬した岩石の破壊・摩擦すべりの実験を再現する実験などができます。最近行った固着すべり実験では、摩擦熱で溶融層ができたとたんにすべりにくくなるという、一見常識に反するような 面白い現象をつきとめました。

どのようにしたら地震を予知できるのでしょうか? 地震の際に放射される電磁波や光の研究は、地震予知にとっても重要ですし、地震のメカニズムの理解にとっても魅力的です。天然の石英同士が摩擦すべりするときには、なんとプラズマが生成するのです。

最近、私たちは来るべき宮城県沖や長町-利府断層で発生する大地震を予知する試みも開始しました。地震発生前の地殻の微小なひずみの結果、地殻から放射性のラドンガスが大気中に放射され、大気が電離することで地震前電磁気現象が発生するとの作業仮説をたて、深部断層を貫く深井戸の大気ラドン濃度観測や電波伝播異常観測を実施しています。

地震や断層の問題を難しくしている理由のひとつは、地殻が均質ではなく、多くの欠陥を含んでいるからです。これを乗り越えるため、Yang-Mills場に類似した新しいゲージ場理論的連続体力学による重力・電磁場をモデル化する研究も行っています。地震に伴われる電磁気的現象の研究は、断層岩の磁性の研究を通して、初期地球のダイナモ活動、隕石衝突時のプラズマ磁場生成、原始太陽系星雲の磁場の研究といった惑星科学の現象解明にも発展しています。研究とは思いがけない発展をするものですね。